SFのSはサイエンスだって知らなかった

BNBのピンク色のバーカウンターで、「どんなアニメが好きか、おすすめしたいか」といった話題で話していた時に

「むちゃくちゃSF好きやね」

と言われて打撃を受けた。

私は別にSFが好きだったことはない。と、思っていたから。



父はSFが好きだった。娘をオタクに育てたオタクなので、いろんな映画やアニメを観ているのを一緒に観ていた。

それゆえにか、好きなアニメは?の質問には50代おじさまたちが喜ぶアニメ作品がオールタイムベストと応える。


そして父が何よりも心血注いで教育したのは「ディズニー」で、おかげさまで私の”好き”の基盤は、ディズニーをもとにする”ファンタジー”となった。

なかでも、パラレルワールドのような、襖一枚隔てた向こう側には、その世界が広がっていて、ひょんなきっかけで自分もそこに転がり込めそうな、そういう”描写にリアリティのある”作品を好む。

ただ、それだけだと思っていた。



突如放り込まれた「SFが好きなんだね」で、自分にSFが好きという意識が立ち上がってしまったからか、ちょっとSF作品に意識がたくさん向いてきた。

それに、「おもしろいSF」は自然と手元に流れていた。


手始めに手に取ったのは、柞刈湯葉 著『人間たちの話』。

そう、大好きなPodcastで耳にタコができちゃうくらいに聞いた作家本を買ってみた。

これが面白い。するする読める。

「つ、続きが読みたい…!」と、眠くても電車の中で本を開く。ベッドに入ってまだ開く。

そうして、「よし、あんなにPodcastで良い良いと言われた大作を読もう」と意を決して手にしたのがアンディー・ウィアー 著『ぷロジェクト・ヘイル・メアリー』。

SFが好きな人の間では、2022年最高の一冊だったはず。


この本を、大垣書店で手に取った時、隣に並んでいたのが

『戦闘妖精・雪風<改>[愛蔵版]』

文庫本はまだ捨てずに残ってあるから、そっと棚に戻してしまったけれど、私はSFが好きなんだなと改めて、突きつけられたようだった。


ずっと何の気なしに好きだと思っていた作品群が、立派なSF作品だと知ったのは、多分ジャンルで縛らずに、嗅覚だけでいろんなものを摂取してきたから。

でもちゃんとその嗅覚は働いていて、”スキな”ファンタジーに集約されていく。





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