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それは妄想か、真実か。

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勘だとか、シンクロニシティだとか、メッセージだとか。 気のせいだとするか、意味があるとするのかでその人の人生そのものも変わることなんだろう。 店内で、街で流れているBGMが意味深に聞こえる時がある。 ただの職業病なのかもしれない。 「この時にかける音楽には、こう言う意味が——」 意味を与えて、意図的に音楽をつかう仕事だから。 ただ、稀につい先程まで耳に入ってもいなかったのに、店内のBGMが唐突に頭に入り込んでくる事がある。 「その曲」は、曲自体をよく知らなくても、歌詞やメロディーが染み込むように入り込む。 会話の途中なのに、そっちに耳も頭も持っていかれる。 いつも訪れた喫茶店で、今まで耳をすませたこともなかったのに、大切な話の最中にその曲は入り込んできた。 はじめて聞いたその歌詞が、私に擦り込むようにダイレクトな言葉になってくるものだから、私のその話題を終わらせた。 もう何年も何年も、飲み込んだことのなかったものをのんだ。 誰かと話している最中に、普段考えたこともなかったことを、スラスラとこれまで持論として持っていたように話すことがある。 脳を経由する前に何かが口をついて出てくるように。 これが感情だったなら、よくあることかもしれないけれど、とても論理的に説明していたりする。 面白がって「降りてきた降りてきた」とか、茶化すことがあるけれど、本当のところは真実だと思うことにしている。 それは妄言であり、説明にならないものだ。 これは一体どこから湧いてくるのだろう。 集合的無意識から、意識下に湧いてきただけ? だとしたら、それは「どこ」なんだろう。 意識していないうちに取り入れた情報を処理して、意識していないうちに論理的な道筋を経て、現れてくるだけなんだろう。 でもそれを、私たちは守護天使のささやきだとか、高次の存在からのメッセージだと呼ぶ。 私はいつも「そうだったらいいな」と思っている。 ふと頭に入ってくる何気ない音も、急に視界の端にきらめいた何かも。 何かの拍子に始まる脳内ループの曲も、思い出も。 何もかもが意味があって今私の目の前に現れる。 天使からのメッセージだといいのに。 惑星たちからの加護だといいのに。 妖精だったらいいのに。 せめて頭の中だけでも、そういう世界であってくれたらいいのに。 Photo by Shot by Cerqueira on Unsp