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ながい髪

  わたしの髪は、恋をするとどんどん伸びる。 恋をしていないときは、そんなに伸びない。 きっと他のみんなとおなじくらい。 「なんか、随分伸びたね」 そう言われて鏡を見ると、たしかに以前より随分伸びている。 そういうとき、わたしは恋をしている。 髪を切ると、あれ?失恋したの?と茶化すおじさんがいる。 「今時そのいじり方、どうなの」 あの子はそう言って、水滴がつき始めたグラスをぐいっと傾けている。 失恋しなくても、みんなは髪を切る。 でもわたしは時々、全部忘れたくて髪を切り落としてしまう。 だってわたしの髪は、相手への想いでいっぱいになって、どんどん伸びているから。 それは時々、扱いきれなくなる。 それは時々、重たくなる。 それは時々、相手を縛り付ける。 忘れなくちゃいけなくなったら、わたしは髪を切り落とす。 みんな褒めてくれる。 ながい髪のときも、とても綺麗ねとみんな褒めてくれるけれど、 短くなると 「そっちのほうがいいね」 と意外な人が声をかけてくれる。 もう、しばらくは短い方がラクだなぁと思うのだけれど、 いつのまにか、また長い方がいいなと思っている。 そういうとき、わたしは恋をしている。

夢で会えたら

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朝アラームが鳴った時、スヌーズで一旦止めてしまう。 10分後…また起きなくちゃいけないのだけど、そのまどろみの10分で会いたい人に会える気がしてしまうから、どうにも会えるまで繰り返してしまうのです。 夢を見るメカニズムは、細かいところはまだ未解明らしいけれど、とりあえず「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のサイクルの中で、レム睡眠中に夢を見ているから、レム睡眠中に覚醒すると夢を覚えている、ということらしい。 だから「今日は夢を見なかったな」と思っても、たまたまその日はノンレム睡眠中に目覚めただけで、夢はちゃんと見ていたはず…。 目覚めた時に、「ストーリーは覚えていないけれど、誰に会っていたかの体感は覚えている」ということが多々あります。 顔は一切見えなかった、けれどあの体感はきっとあの人だ。 そういうふうに、関わったことのある人だと、ビジュアルイメージよりもその人といるときの感覚だけが、夢の記憶に残っていることがあるのです。 これはきっと、会ったことのある人だから、できること。 最近久しぶりに二次元だったり、タレントさんだったり、現実とは別に「推し」をもてる楽しさを思い出してきたのですが、どんなにその人に夢で会おうとしても会えません。 こういうときは、夢で会えない。 だってその人は(タレントさんであったとしても)”私の”現実にはいない人で、会ったことがないから、その人と会った時に覚えることのできる、その人のエネルギーの体感を私は知らないのです。 私の場合、あまり夢で人にあったとしても、会話もなければやりとりもない、ただそこに在った、というだけの夢が多く、それだけでとても幸せな気持ちになるのです。 それはきっと、会えた人のエネルギー…と言うか存在感を感じるから、そのエネルギーに包まれたような感覚があるから、幸せな気分でいられるのでしょう。 眠る時、私の妄想ファンタジーのなかでは 人はみんなどこか同じ、大きなところに接続しているのだと思っていて、 夢はもしかしたら、その接続した時に誰かと混線するから出会えるのかもしれない。 Photo by  Kinga Cichewicz  on  Unsplash