夢の時間・夢の街



大阪、梅田を歩く時、行ったことのある場所でさえ、スマホの画面からちょっとでも目を離すと、もうどこなのかわからなくなる。

梅田のダンジョンっぷりは、知らぬ人はいないほどの複雑さ。

もうこんなの有楽町のほうが幾らかわかる…!と泣きそうになりながら、帰りの地下鉄に乗るべく入り口を探して彷徨い歩いた。


京都という生活圏を出ることなく生きてきたけれど、東京は、局所的だけど少しだけ地図無しにも歩ける。

梅田より遥かにわかる。

それは、グリーフケアを学びに「コアエッセンス」の東京サロンに通った頃の名残で、毎月東京ブックマークで格安の新幹線チケットと宿をとって、講座と個人セッションと、ついでに歯医者、そして時間潰しにネイルサロンやお買い物をした名残。

帰りの品川駅前のつばめグリルのハンバーグは格別だった。

月に一度、その東京滞在をアドバンスコース修了まで続けた。

思えばまだ大阪サロンがなくて、関西勢には珍しい東京1期生だった。


自分の心のことに向き合い、学ぶ事を目的にした定期滞在だったから、東京に行く事そのものが「自分と向き合う時間」だった。

大好きなのは銀座の街。

どこか祇園に似ている空気感(行きつけの「祇園 石」さんの東京店舗もあるからね)と、おハイソな建物。立ち並ぶハイブランド。

大好きな伊東屋。

ちょっと裏に入ると怪しげだけどめちゃくちゃに美味しいタンメンのお店。銀座のつばめグリルもよく行った。

一度だけ、せんせーと夜の東京タワーまわりをブラブラして、叔母のセッションが終わるのを待った。暗い神社の裏を祝詞上げながら歩くのは、周りの方が怖かったはず。

お買い物したくなる有楽町と、お参りに行く表参道。サロンのある田町と、定番宿になった大森の駅、それから歯医者に行くから新橋も。

この局所的エリアだけなら、ある程度Googleマップなしで歩ける。

時限装置のように、修了して時が経つほどにあの時間が今の自分に必要なことを知らせてくれる。

今思い出して、取り出したいのは

「私は何が好きなのか」

思い出の中から、機嫌よくひとりでフラフラお上りさんをした時間を取り出す。

『雨に唄えば』のようなディスプレイになっていたロマンチックな銀座のティファニー。

ワンフロアずつ悩んでいた伊東屋。

交差点の角の写真家のおじ様。

心穏やかにしてくれる明治神宮。

ドキドキしながら訪れるネイルサロン。

オレンジ色に光って、みんなが足を止めて見上げる東京タワー。


Photo by Jezael Melgoza on Unsplash

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