牡羊座新月「the show must go on」



牡羊座ですから、当然「はじまり、はじまり〜」とお声がかかるわけです。というか、もう始まってた!くらいの勢いで。

この新月の前、なぜかひたすらに焦っていました。準備を整えなければ!と。

焦っているわけも、ただ段取りが悪いだけというか、明日引越しなのにまだ全然荷物の用意が出来てない!みたいな。

とはいえ、案外準備は整っていたということに、玄関で靴を履く時に感じるのです。


鏡の前に立ち、そっと後ろから肩に手を添え兄が嬉しそうに語りかける。

ほら、何も心配いらなかった。

日頃から準備をしておけば良かったと、嘆いた目覚めから、あっという間に見たことのない姿に変わっている。

兄は誇らしそうにしている。これが私なのだろうかと心配になる。何をいつまでも心配しているのと後ろから笑われる。

それでも不安で俯くと、スッと手が伸びてくる。白く美しい手が、私の顔を上げさせる。

前を見なさい。その瞳は遠くを見るほどに深い輝きになる。

彼女がそういうと、兄もおかしそうにしているのが、視界に入る。

二人して笑わないでよと言えば、二人とも声を揃えて、だったら堂々としていなさい、と。

遠くから、ドラムマーチが聞こえる。進む時を迎えているのだと。

彼女のようにと思わなくていい。あなたはあなたの役割がある。あなたはその務めを十分に果たす準備が整っているの。

頭の中を読んでいるのかしらと、思う。私はまた、あの先頭に立つ人のことを考えていた。

勇ましく、剣を奮えるようにあらねばと思っていた。けれど私にその力はなくて、代わりに与えられているものがあるんだから、比べてはいけないよと、兄が微笑む。

ぼくは君が誇らしい

そして君の微笑みが、幸運を届けてくれる。

君の美しさは、ぼくらの癒しになる。

さぁ、みんなが待っているよ。と、手を引かれる。

光が差し始める。

さぁ——

望まれてそこに立つのだと、胸を張る。

遠く縁に立つ彼は表情は変えない。あなたはまたそうやって、私を揺らがせる。きっとあなたはそれを期待している。私が揺らぐことを。でもきっと今日は、あなたも目を見開くはず。


絵は浮かぶのだけど、詳細は言葉にし難い物語が、断片だけ現れて、拾い上げてみるとそれは一つの物語だったようです。

白飛びするほどに晴れた、春霞のような乾いた世界で、その乾いた世界はまだ続いているように思われたのですが、少しずつ地下には水脈が広がっているようです。

きっと知らぬ間に地下に広がった水脈から、水が溢れ出て、コントラストが上がって、彩度の高い世界がついに現れるのでしょう。

Photoshopのパラメーターが勝手に変わっていくような。(今時はLightroomですか?)


Photo by John Fowler on Unsplash

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